Ushiku   Songs of Memories

 

千葉県市原市牛久商店街に生きてきた、生きるひとに、私たちが関わること、それを土台にして、地域やそこに生きる人々の記憶を作品化する。その上で、もろもろの機会を設けて、作品を表現する。

 

たとえばうた。

牛久商店街に生きる人々が《まちのきおく》を歌うことで、街の歴史が他者に開かれ、新しい息吹を吸い込みながら歌い継がれていくこと――. これが私たちのコンセプトである.

牛久商店街に暮らす商店経営者やその家族には、それぞれに「生きられた歴史」がある。私たちは、小湊鉄道線の発展とともに栄えた昭和の商店街の暮らしを中心に、彼・彼女らの歴史物語を聞き取り、それらを歌詞にし、曲をつけ、歌にして共にうたう。私たちのアート作品は、そうした「歴史実践」から生み出される.。私たちは「オーラル・ヒストリー」と「作曲」の 2 つの方法を用いて店舗の家族の《きおく・かたり》を それぞれの 《きおく・うた》に作品化する。《きおくうた》は芸術祭期間に披露されるとともに、各商店の店先で流される。私たちの作る歌は、商店ごとの個性を帯びるが「商品」価値を持たない。それは、ささやかな歴史の「小品」として、商店街の歩行者に歌いかける.。《きおくうた》は、街の外部の人間との関係性を自らの生命源としながら紡がれていく。そのプロセスの中で、私たち制作者や歌を聴くオーディエンスも街の歴史に記憶されるのである。